概要

カメラと感慨

カメラの原理は、写真術の発明以前から知られていた。窓のない暗黒の部屋の壁面に小さな穴を空けると、反対側の壁面に外の景色が映し出される。これを応用して、日食の観察を行ったり、絵画の下絵を描く目的に使われた道具が、カメラ・オブスキュラである。16世紀には、小穴の代わりにレンズを用いて、より鮮明な像が得られるようになり、反射鏡によって箱の上面に像を結ばせるようにした小型のカメラ・オブスキュラが作られた。これは絵画における遠近画法の確立に寄与したと言われている。

撮影範囲を知るためのビュー・ファインダー(ファインダー)を、撮影用レンズと独立させて取り付けたもので、構造が簡単なため、安価なカメラに使用される。ファインダーには簡単なレンズが使用されることが多いが、ライカMシリーズのように、距離計と組み合わせて精密な焦点調節を可能にしているものもある。これらは距離計連動式カメラ(レンジファインダー・カメラ)と呼ばれる。

ファインダーを持つものもあるが、多くは撮像素子から得られるデータを内蔵した液晶モニター等に表示する機能を持っている。コンパクトデジタルカメラの場合は、液晶画面上に撮影中のデータを表示可能で、ファインダーの代わりとして使用可能(小ささを追求した機種では光学ファインダーをなくし、完全に液晶画面がファインダーとして使われている)だが、デジタル一眼レフカメラの場合は、特殊な機構を搭載した一部の機種を除き、基本的にその構造上撮影中のデータを液晶画面上に表示できない。

カメラの歴史の初期には、1枚だけのレンズ(単玉レンズ)を用いていたこともあったが、その場合諸収差が大きく鮮鋭な像が得られず、比較的その影響を少なくするため口径を小さく(F値を大きく)すると、光量が少なくなって露出時間が長くなるという問題がある。このため複数枚のレンズを組み合わせて、より収差が少なく鮮鋭であり、かつ口径の大きなレンズを作る試みが長年続けられてきた。当初はレンズの焦点距離の固定された単焦点レンズであったが、後に焦点距離が可変のズームレンズも作られるようになってきた。

カメラを子どもにプレゼントする

現代の世の中ではカメラ自体それほど高価なものではなくなっている。携帯電話やスマートフォンにも搭載されているので、子どもたちはカメラ自身を持つことがなく、ものを写真に摂ることができる。これが一昔前は、ポケットカメラやインスタントカメラなど、少々特殊な分野のカメラもあり、また現像はネガ焼きとなるため間違いが許されないものであった。それだけに昔の写真は貴重とも言えるし、その有り難みも高かった。できれば今の子どもたちにも、そういった時代の有り難みを少しでも感じてもらいたいものだ。とかく現代は何でもネットやブログで完結してしまう世の中だが、物に触れるアナログな環境は無くしてはいけない。


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